conditioning コンディショニング
【スキージャンプ】脳震盪の復帰プロトコル要約
札幌苗穂のトレーニングジム、Training Studio AMILUS(トレーニングスタジオアミラス)です。
スキージャンプはスピード・高さ・空中姿勢制御を伴うハイリスク競技です。転倒時の脳震盪(のうしんとう)は決して珍しくありません。
しかし、復帰を焦ることは選手生命を縮める行為です。今回は、国際スキー&スノーボード連盟(FIS)および全日本スキー連盟(SAJ)のガイドラインに基づいた段階的競技復帰プロトコル(GRTP)をわかりやすくまとめます。

脳震盪からの復帰は「段階的・医学的管理」が絶対条件
スキージャンパーの脳震盪復帰は、自己判断ではなく、評価ツールと医師の診断を基に段階的に進めることが必須です。
症状が消えた“感覚”ではなく、客観的評価が基準になります。
脳震盪の評価方法|復帰前に必須のチェック項目
① SCAT5による総合評価
13歳以上に用いられる国際標準ツールです。以下を評価します。
- 症状チェックリスト
- 認知機能(見当識・記憶・集中力)
- 神経学的スクリーニング
- バランス検査(BESS)
- 遅延再生テスト
シーズン前にベースライン測定をしておくことが極めて重要です。
② マドックス質問(記憶評価)
「今は前半か後半か?」「会場はどこか?」など、即時記憶を確認する質問で、現場判断に有効です。
③ VOMS(前庭・眼球運動評価)
脳震盪後に多いバランス障害や眼球運動異常を評価します。頭痛・めまい・吐き気の悪化を確認します。
④ 医師によるメディカルチェック
Step4以降に進む前には、脳神経外科など専門医の診察が必須です。
なぜ慎重な復帰が必要なのか
セカンドインパクトシンドロームの危険性
症状が残ったまま再受傷すると、致命的な脳腫脹を起こす可能性があります。これは若年層ほどリスクが高いとされています。
復帰までの一般的期間
- 成人:最低7〜10日以上
- 小児・青少年:2〜4週間以上が一般的
重度脳損傷歴がある場合、再発リスクの高い競技への復帰は原則推奨されません。
スキージャンプ段階的競技復帰プロトコル(GRTP)
Step0:完全休養
身体的・認知的休養。スマホ・ゲーム・激しい活動を避ける。
Step1:軽度活動
日常生活復帰。軽いウォーキングなど。
Step2:有酸素運動
心拍数を段階的に上げる。エアロバイク、水泳など。
Step3:競技特異的運動
低速滑走、アプローチバランストレーニング。頭部衝撃なし。
Step4:ノンコンタクト運動
ランディング練習、シミュレーション。※医師チェック後に進行。
Step5:フルコンタクト練習
スモールヒルから開始し、段階的に強度を上げる。
Step6:競技復帰
症状ゼロを確認し、通常の試合へ復帰。
【具体例】現場で意識すべきポイント
- 症状が出たら必ず一段階戻る
- 「大丈夫です」は信じない。客観評価を優先
- 保護者・指導者もプロトコルを理解する
復帰を急がない勇気が、選手生命を守る
ジャンプは勇気の競技ですが、復帰には慎重さが必要です。
そして予防の基本は身体機能の強化です。
体幹安定性、バランス能力、首周囲筋の強化、反応速度の向上は、転倒時の衝撃軽減に繋がります。
競技復帰はゴールではありません。
「もう一段階強い身体で戻る」ことが本当の復帰です。
安全に、強く、長く競技を続けるために。
身体づくりから整えていきましょう。
Training Studio AMILUS(トレーニングスタジオアミラス)
札幌市中央区北2条東9丁目90-28 リーサ苗穂駅前1F
